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SPECIAL TALK スペシャル対談 桑原あつし氏(「30ROCK」翻訳)×清水裕一氏(TVグルーヴ・ドット・コム代表)

アメリカで絶大な人気を誇るTVシリーズ『30 ROCK/サーティー・ロック』。
日本でもDVDリリースを果たし、TVでも放送中の同ドラマについて、 その魅力を分析し、楽しみ方をナビゲートします。
本作の翻訳をご担当頂いた桑原あつしさん。 海外ドラマ専門情報サイトTVグルーヴ・ドット・コム 代表の清水裕一さん。
お二人によるスペシャル対談をお楽しみ下さい。

「このドラマでどのキャラが嫌いというのを聞いたことがない。全員が好かれているんですよね」桑原あつし
「アメリカ文化を知るきっかけとして、好奇心に訴えかけるドラマです」清水裕一
アメリカでは30ROCK現象が起きた
受賞歴に関していえば、テレビ史上に残るドラマです。ここ最近の人気ドラマ『LOST』や『24』と比較しても、ジャンルは違いますがクオリティとしての評価は圧倒的に高い。出演者もこのドラマでステップアップしていて、ティナ・フェイやトレイシー・モーガン以外の役者たちも、主演でこそないけれどメジャー映画に出まくっています。アレック・ボールドウィンの場合は逆で、映画で落ち目状態だったのがこれで復活した。昨年のアカデミー賞授賞式の司会も、明らかにこのドラマのキャラを意識して演じてました。
うちのサイトは海外ドラマニュースを扱っているのですが、2006年の放送スタートの頃からやたらとこの作品の関連情報やティナ・フェイの名前を見るようになったんです。誰々がゲスト出演したとか。これはひとつの社会現象になっているなあという印象を受けました。かなり凄いことになっていると。日本でDVDが発売されて、やっと作品を見ることができましたが、人気の秘密が理解できました。アメリカのテレビ業界は活気があって、挑戦的で斬新なアイディアを持つドラマが次々と生まれている。『24』『LOST』『プリズン・ブレイク』あたりが従来のテレビの概念を超えたわけだけど、そのダイナミズムがコメディ界にもあったことを、『30 ROCK』を見て実感しました。
日本はストーリー重視。アメリカはキャラクター重視。

当然アメリカのことを知っていないと解らないネタは大量に入っているけれど、基本となるストーリーは解りやすく、つまりは一般的な日本人が解る範囲だけでも、他のドラマよりも面白いくらいです。

僕は、アレック・ボールドウィンが一番好きで、いち経営者として彼に共感することも多いんです。彼の言っている経営についての理論や幹部社員が受けている教育など、変なところにやけにリアリティがあるのも面白い。米国ではすべてが理論化されたシステマティックな幹部教育があり、幹部はその教育を受けて会社を経営している。そうやってアメリカの企業社会が周っている、といったところがリアルに描かれていて凄いなと思いました。本筋とは関係なかったりするんですけどね。

ディテールに関して言えば、企業名も、買収の話などもほぼ現実どおり。アレック・ボールドウィンなどは、キレやすいキャラという本人のイメージをしっかり利用しています。実際、キレやすい人なんですけどね。偶然駐車場で見かけたことがあって、車がないと言ってマネージャーだかに凄く怒ってたんだけど、自分が別のところに停めていたことに途中で気づいて・・・。
ははは。そうなんですか。
当初、パイロット版(第1話)では企業側から派遣され番組の皆と対立するという設定だったと思うんです。でも、キャラがあっという間に変わり、どっちかというと仲間側に入ってしまっているのが面白いですね。
ティナ・フェイも、最初は裏方でトホホな人生を送っているように描かれていたのが、髪形もメイクも衣装もだんだん綺麗になってきたり彼氏もできたりして、たった半年の間に、発展があるというのが面白かったです。
日本のドラマとは違い、終わりが決まってない。だから、向こうのドラマは作りながらキャラが変わっていくことがあります。日本はストーリー中心。でも、アメリカは基本的には映画もテレビもキャラクターが中心。最近、あらすじだけでドラマや映画を見る日本人が多いので、海外のものが理解しづらくなっちゃうんです。『LOST』も、はやく物語を進めろという文句が出るんだけど(まあこれは海外でも多く聞かれた意見ですが)、あれもキャラクターの物語として1話づつを楽しむべきですよね。